戦略とパーパスが伝わる業績指標づくりを考える

    業績指標はほとんどの会社で設定されています。ほとんどの企業は業績指標を達成することを目標として活動します。何を達成すればよいか、目標を示してくれるのが業績指標です。目標がある方が解りやすいものです。

    しかし一方で業績指標を定めることによる害悪もあります。また、目先の数字に囚われるよりも大事なこともあります。DIAMOND ハーバード・ビジネスレビュー2020年3月号を読んでそんなことを感じました。テーマは戦略を実行につなげる組織、副題は目先の数字にとらわれていないか?です。考えてしまうタイトルですよね。

    そんなわけで、今回はDIAMOND ハーバード・ビジネスレビュー2020年3月号を参考に、「戦略とパーパスが伝わる業績指標づくり」というテーマについて考えてみたいと思います。

    業績指標の悪い面

    もし業績指標に無理な数値を設定した場合、どうなるでしょうか?もちろん、現場には無理な数値を達成するように要求することになります。DHBR2020年3月号の特集1の論文「目先の数字にとらわれて目標を見失っていないか」では、ある金融機関が不正を働いた事例が紹介されています。

    この事例によると、問題の金融機関は顧客の許可を得ずに勝手に預金口座を開設したりなど、不正行為を行ったとのことです。そして訴えられたリ、罰金を科されたりしてしまいました。まさしく最悪のケースですね。

    そういえば数年前、PCデポがお年寄りにあれもこれもと色んなサービスを付けて多額の料金を取ったというニュースがありました。無理な業績目標を達成するために、従業員がこのような行為に走ってしまう危険性があります。業績目標を達成しないと、従業員にとっては自身の評価に響きますので、このようなインセンティブが働きます。

    業績指標を基準に考えると無茶な目標の場合に悪い方向へインセンティブが働く

    戦略が伝わる業績指標を設定する

    特集1の論文「目先の数字にとらわれて目標を見失っていないか」では、下記2点の方法が提案されています。

    • 現場の主担当者と一緒に戦略を作る
    • 比率を設定する

    現場の主担当者と一緒に戦略を作る

    まずは現場の主担当者と一緒に戦略を作るという方法について考えましょう。この方法は現場の課題を理解した上で業績指標を設定するというものです。

    「この商品・サービスをこれだけ売りたい」というような経営側の都合をトップダウンで一方的に現場に要求するのではなく、現場の課題を吸い上げて経営側の都合と合わせて調整するということですね。トップダウンとボトムアップを組み合わせた双方向なコミュニケーションを行うということです。

    この論文のケースでは、経営側の押し付けである業績指標では、医師が低コストで質の高い診療を使わなくなるリスクが指摘されています。現場が「こういう商品やサービスがあった方がいい。こういうことは無理、できない」と感じている都合を取り入れるということですね。まずは現場に行って意見を聞くことから始めるのがよさそうです。

    比率を設定する

    従業員からすると、業績指標を達成した方が自分の評価が上がりますし、達成できなければ説明責任を求められ、最悪の場合は降格や左遷になるかもしれません。

    こうなると、「本当はこの商品・サービスの方がお客さんにとっていいと思うんだけど、会社がこっち(利益率が高い、経営陣が売り込みたいなどの事情がある方)を押すからなぁ」となってしまいます。

    そこで、80%までなど上限となる比率を設定するという方法があるようです。この論文のケースでは、高コストな治療と低コストな治療がありました。80%の患者は1カ月様子を見て、それでも治らない・症状が重い患者のみ高コストな治療を行うというものです。

    このように、顧客への対応を「会社が売りたい商品・サービス」と「顧客事情に合った商品・サービス」に分けて考えるのは良さそうですね。

    お店に買い物に行っても、お店として売りたい(高性能・高品質だけど高価だったり、特売品だったりなど)を押してくるケースはよくあります。勿論お店の都合もあるわけですが、お店の都合とは会社から要求される業績指標の可能性もありますね。

    となると、経営陣が現場に業績指標を押し付けると、現場が顧客に押し付けをする可能性があるのかもしれません。それよりは、最近よく聞く相談型の販売(家電のノジマが言っているコンサルティング販売など)が定着するように持って行くのがいいのかもしれませんね。

    パーパスで考える

    パーパスで考える方が個人的には戦略と業績指標よりも先かなと思っています(^_^;)

    特集4の論文「パーパスを戦略に実装する方法」と特集5のインタビュー「100年先を見据えて挑戦し続ける会社をつくる」ではパーパスについて語られています。

    前者はパーパスから発展して自社のやるべきことを広く捉えるということについて、後者はパーパスに沿って経営者がやるべきことについて語られています。経営者がやるべきことの多くは環境整備だとも語られています。

    パーパスから戦略を考える

    自社のパーパスを定義していることが前提条件ですね。パーパスが決まっていないのなら、まずはパーパスを決めましょう。

    パーパスが決まったら次は下記3点について考えます。

    1. トレンドに対応する

    今時だとデジタル活用によって利便性を上げることですね。パーパスから考える場合、自社の今の業務がこういう形だからではなく、自社はこういう取り組みをするべきだからという視点で考えるということです。

    すると、業務プロセス自体を考え直すという発想につながる可能性が出来ます。ここでデジタルの活用も組み入れられるか考えるわけですね。

    2. 信頼をベースにする

    自社が取り組むべきことが決まったら、ターゲットとなる顧客の状況を理解し(顧客の話を聞きに行く、現場を見るなど)、顧客の課題に答えることで信頼関係を築きます。そうすることで契約を増やす方へ持って行きます。

    3. 悩みに焦点を当てる

    ペットを飼う顧客に焦点を当てると、コネクテッド首輪で健康上の問題を予防するという案も出てきます。自社がやるべきことは製品・サービスの提供ではなく、価値の提供です。そのためのパーパスです。

    パーパスを定めれば、特定の製品やサービスに依存せず、顧客の課題や悩みに焦点を当て、それにあった製品やサービスの案が出てくるようになる、というかそういう視点で案を出しましょう。

    こうしてみると、パーパスを決め、顧客を知り、顧客の課題に合った製品・サービスを考えるという流れですね。パーパスからスタートすると言いますか。

    パーパスを基準に考えるとより広い視野を持てる

    パーパスに沿った環境整備

    特集5のインタビュー「100年先を見据えて挑戦し続ける会社をつくる」で語られていることは戦略ではなく、実践ですね。従業員が実践できるための環境づくりです。

    となると、パーパスに沿った戦略が決まった段階で、どうやって実行に移して行くか?という所が論点になります。このインタビューを参考にすると、トライ・アンド・エラーを推進し、好きなようにやっていいと従業員に促すことです。

    資生堂においてはオフィスや研究所に投資をしています。ここはケチらないという考えのようです。パーパスに沿って新しい戦略を考えたならば、それを実行するためにケチらずに投資をすべきでしょうが、ちょっと落ち着いましょう。

    投資はすべきですが、まずは小さく始めてデザイン思考やリーンスタートアップの手法で顧客の反応を確認しましょう。ここで積極的にトライ・アンド・エラーを推進します。トップが言わないとダメです。顧客の反応を見て行けそうだと思ったらGOサインを出して積極的な投資をしましょう。

    終わりに

    まとめると、今回のお題である「戦略とパーパスが伝わる業績指標づくり」は個人的には下記の流れになるかと思います。

    1. パーパスを決める。
    2. パーパスに沿ってターゲット顧客を決める。
    3. ターゲット顧客のニーズを知る。
    4. パーパスに沿って製品・サービスを作る。
    5. 戦略を決める。
    6. パーパスに沿って業績指標を決める。

    業績指標はパーパスを達成するという視点で決めた方がいいのかなと。売上高、コスト、利益は必ずあるとして、顧客の課題をどれだけ解決したか?や顧客満足度などでパーパスの達成具合を測るのはどうかなと思った次第です。

    現場に間違って伝わらないように、現場にはパーパスを伝えた方が良いです。経営陣が話す機会があるときは、毎回ビジョンとパーパスを語るのもありかなと。

    いきなりポンと業績指標だけ現場に渡すのでは、現場としては数値を達成することしか考えられません。私が今までに所属した会社のほとんどはそうでしたが、やはり「何のために」とか「顧客のどんな課題を解決できたらいいのか」が解ると個人的には嬉しいですし、モチベーションや誇りになります。

    今までは会社が示さないから自分で考えてやっていました。だから逆に示すようなやり方をやりたいですね。少なくとも自分が責任者の案件ではしっかり明示しようかなと。

    それから、自分のキャリアや仕事観にもこのやり方は応用できそうですね。一度、棚卸として考えてみようかなぁ。

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    musiccycle

    ITとデザインは強力な武器だ!と考えているプレイングマネージャー派ITプロフェッショナル。好きなものは経営戦略、ブランディング、マーケティング、会計、組織論。趣味はサイクリングと楽器。

    外資向けブランド戦略会社、金融向け経営管理ベンチャーと渡り歩いたが会社が経営難になって無くなる。今はIT系コンサルファームに居候中。

    自分が今までに経営とITという視点から学んだことを広く多くの人に発信していきたと考えています。

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